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★生きていくのに十分な記憶

またまた市川拓司「いま、会いにゆきます」から。「ぼく」は、澪と別れたつもりでいた。いくつかの記憶で十分生きていけると思っていた。

杏色のワンピース。バレッタで留めた長い髪。モヘアのセーター。ポケットの中で触れ合った指と指。そして、ニットの耳当て。すばらしい。これだけあれば一生困ることもない。きっと人生なんて「あっ」という間に終わっていくのだろうから、思い返す記憶なんてそんなにたくさんはいらない。たったひとつの恋。ただひとりの恋人。そしてデート3回分の挿話。それで十分。

記憶は、いくら大切なものでも、薄れていったり変質していったりする。だから、亡くなった肉親のことを、笑いながら話すこともできるようになる。

ただ、忘れかけていた記憶を新たに(と言っていいかとわからないが)思い出すことも可能だ。連想を働かせれば、かなり細かいことまで思い出して、何度も味わうこともできると思う。ある種の人間は、そういう記憶を頼りに生きていくこともできるのかもしれない。前向きだとは言い難いけれど。

デート3回分の挿話で生きていけるかどうか、暇な人は試してみて、結果を教えていただきたい。ちなみに、自分で連想を働かせてみたところ、デートのことではなく、10年近く前に亡くなった祖父のことと、30年近く前に見たUFOのこと(苦笑)を思い出した。

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