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★それが、いい

市川拓司「いま、会いにゆきます」から。先日の記事にあまりにも似ているので、ちょっと驚いてしまった個所を今日は紹介しよう。

神経の病気になって、普通の生活が送れなくなった大学生の「ぼく」は、当時、時々会っていた澪に別れを切り出そうとする。

できれば、きみが自分から離れていってくれるのが望ましい。たとえば、ぼく以外の誰かを好きになるとか。そうすれば、きみはきっと遠からずぼくのことを忘れていってしまうだろう。

それが、いい。(192ページ)

「ぼく」は、自分の病気のことを澪に知らせず、冷たい男だと思わせるために演技する。澪が自分のことを見限ってくれれば、澪は傷つかない。そう判断してのことだ。

私だったら、全部洗いざらい話した上で、「ぼくのために、きみを苦しませたり悩ませたりさせたくないから」と言って、絶対に引かないかな。

でも、「私はそれでもいい」と言い張られたら、なかなか苦しい。「きみの苦しむ姿をぼくが見たくないから」というのは利己的(本当に好きなら、相手が苦しんでいる姿から目をそらしてはいけないと思う)だし、「それは、きみのためによくない」というのは傲慢(自分のために何がよいかは、大人なら自分で判断するから)だし…。

やっぱり、これが正解なのかな、と思う。

それにしても、この小説、冒頭の50ページくらい、何を言いたいのか全然わからなかった。途中で読むのを止めようと思ったくらいだ。物語の中程から、とにかくページを繰る速度を上げて、何とかおもしろくなってきたけれど。ちなみに、以前紹介した「Deep Love 第一部 アユの物語」は、小説としては、これよりずっとデキが悪い。とはいえ、売れるためのツボは外していないと思うけどね(実際売れてるし)。

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