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★「いってきます」に愛を込める

市川拓司「いま、会いにゆきます」から。「ぼく」と「ぼく」の息子は、1年前に死んだはずの妻であり、母である澪を見つけて、自宅に連れて帰る。「ぼく」は妻の澪と一緒に暮らした日々が戻ってきたのに、信じられない思いでいる。

「いってきます」 愛を込めて、ぼくは言った。「おはよう」とか「おやすみ」とか「おいしいね」とか「大丈夫?」とか「ちゃんと眠れた?」とか「こっちに来て」とか、そんな何気ない言葉すべてに愛が宿っている。それが夫婦なんだと、ぼくは思った。(117ページ)

「夫婦ってそんなに甘いものじゃないよ」「夫婦生活って戦いだよねえ」「理想は理想。現実は現実」という言葉が聞こえてきそうだ。もちろん、それは正しいと思う。

それと同じくらい、正しいと思うのが、「おはよう」とか「おやすみ」とか「おいしいね」とか「大丈夫?」とか「ちゃんと眠れた?」とか「こっちに来て」とか、そういう言葉に愛を込めること。

「愛って何よ」と問われるかもしれないが、私は思考回路が変なので、駅のホームで、別の方向の電車に乗って、手を小さく振ったこととか、旅先の居酒屋で、自分だけ飲んでいたこととか、まだ恋人ではなかったときに礼儀正しく会釈して別れたこととか、冬の夕暮れに公園で手を握って散歩したこととか、そんなことを全部覚えていることとか、そういうことしか思いつかない。

でも、全部終わったこと。終わったこと。

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コメント

全然その感覚はおかしくないと思うんですけどねー。「もう終わったこと」なのですか・・・ 色々と学ばされますね。

投稿: miyashu | 2004年4月 9日 (金) 午後 12時43分

夫婦や長い恋人同士では、「愛」は大げさなものより、そんな日常のちょっとした出来事に映し出されるように思います。

その感覚はちっとも変じゃないと思いますが・・・。

違う感覚の人もいるでしょうけど。

投稿: mia | 2004年4月 9日 (金) 午後 08時14分

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